【感想】創作者の信念と法律の関係について

感想

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フェアユース

私は法律の専門家ではないので、正確なことは言えませんが思ったことを述べさせていただきます。

アメリカでは著作権法でフェアユース(fair use)という概念がある。日本語では「公正利用」と訳されることがある。著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準のもとで公正な利用(フェアユース)に該当するものと評価されれば、その利用行為は著作権の侵害にあたらない。このことを「フェアユースの法理」とよぶ。

1:利用の目的と性格

2:著作権のある著作物の性質

3:著作物全体との関係における利用された部分の量及び重要性

4:著作物の潜在的利用又は価値に対する利用の及ぼす影響

1の項目では、著作物の利用が営利性を有するかどうかが争点となる。営利的であればフェアユースの成立しづらく、非営利的であればフェアユースが成立しやすいそうだ。日本でもTwitterなどのSNSでアニメのキャラクターをアイコンにしたり、スクリーンショットを投稿したりしている。これらは厳密に言えば法律に違反する行為となる。しかしそのほとんどが非営利的であるため、暗黙的に認められている状況だろう。

著作権は人を縛るのではなく、守るためにある。

日本ではフェアユースという概念はほとんど採用されてない。したがって、非営利であってもフェアユースが成立せず、企業や個人に著作権違反・肖像権違反等で訴えられる可能性がある。ただ非営利でSNSでアイコンにしたくらいで訴えていては企業のイメージを悪くし、また訴えから得られる利益も少ないからされていないだけだろう。非営利であっても著名人であれば企業が動く場合もあるだろう。見せしめとなるからだ。しかし海賊版サイト(漫画村)や、ライバル企業などの営利性を有する案件となると、企業は動く。それでは同人誌業界は営利だがどうだ?という話があるが、それはここでは置いておく。要するに、法律違反であっても、企業が動く場合と動かない場合があるということだ。同人誌業界だって実際に企業から訴えられている人はいる(任天堂など)。

仮に営利でも非営利でもトレースし放題、その他パクリ放題という無秩序状態を想定してみる。自分が一生懸命考えて創作したものが、1日後には他の企業の漫画家が同じ作品を週刊誌に投稿しているといった具合にだ。これは極論だが、そういった状況では何かを創作し、発表しようという人が減るかもしれない。

これは文化という観点からしても好ましくないし、経済という観点からしても好ましくない。だから法律で守らなければいけないとうのが著作権だ。著作権は本来、人々の創作性を縛ることに重きをおくのではなく、守ることに重きをおいているはずだ。

ここからは感情的な話になってしまうがご容赦いただきたい。著作権でまもられるものがあまりにも多すぎるような状況になってしまった場合、クリエイターは一度は苦しみ、考える。なにかを描いても、この構図は以前誰かが描いたものではないだろうか。このストーリーは以前誰かが、このキャラクターは以前誰かが、云々。なにかしら被るのはしかたない。そんなことをいちいち検証していては、恐れおののいてなにかを自信をもって創作し、営利として発表することが難しくなる。そうしたクリエイターを守ってくれるのがおそらく知識に長けた出版業界の人や編集社なんだと思う。

著作権が旧い著作物や著作権者を守ることに徹しすぎると、新しい著作権者や著作権者が生まれにくくなるという状況に陥る。人々の創作性を守る法律が、萎えさせることになりかねない。これでは価値の転倒である。

ここで争点となるのは、「どの程度似ていてもいいか」という基準だ。今回のケースではトレースが問題になっている。服の一部に、画像検索で出た桜をトレースして描き入れても良いのかどうかだ。あるいは検索で出た実際の人物をトレースしていいかどうかだ。感情的な話になれば、そのくらいいいんじゃないか?という話は妥当にも思える。法律的な話になれば、それは許されないんじゃ?という話も妥当にも思える。その境界はどこにあるか?という落とし所が大事だと思う。正直な話この議論は答えが出ないと思うし、個別具体的なケースになる。ビジネスとして食べていきたいなら、コンプライアンスをひたすら守るべきだという姿勢は正しい。人を楽しませることが好きで創作しているから、コンプライアンスなんか知るかという姿勢も感情的にはわかる。極論、訴えられれば金を払うなり謝罪すればいい。

創作者の信念

たとえば法律が許したとしても、創作者としての道徳はどうなんだ?という話も創作者を付きまとってくる。創作者はいかにあるべきか?という点になる。法律なんてものはいつ変わるかわからないし、国が変われば法律も変わる。個人的に大事なのは道徳や信念だと思う。信念の強さがあれば著作権を恐れずに一歩進むことができる。

信念ってなんだ?という話になる。これは人それぞれである。人が心の底から強く願うもの、創作に込める気持ちや意味のようなものだ。なぜ創作をするのか?という答えを強くもっている必要があると思う。それが「お金儲けをしたいから」なら、それでもいい。「人を楽しませたいから」なら、それでもいい、「世界の文化にすこしでも寄与したいから」なら、それでもいい。なにかしら信念が必要になる。

創作者の信念の如何によって道徳というものは決まる。たとえば「お金儲けをしたいから」という信念に突き動かされていれば、コンプライアンスは気にするべきだという道徳になるだろう。「人を楽しませたいから」という信念なら、「コンプライアンスなんて知ったことではない」という道徳になるだろう。面白ければ勝ちである。あるいは「人と何かを共有したいから、人と繋がりたいから」と考える人もいるだろう。

「世界の文化にすこしでも寄与したい」という信念に突き動かされていれば、トレースという手段についての道徳も少し変わるだろう。先代の創作物をいかに利用して次世代につなげていくかが重要になるからだ。つなげていく行為でトレースというものは意味があるか?という道徳観念がこの人にはつきまとうだろう。こんなものはだめだ、これでは寄与にならないと。参考にするのはいい。これよりもっと良い構図にするのにはどうしたらいいだろう?もっといいデザインはないか?もっといいストーリーはないか?と必死に考えるだろう。この際に著作権云々という法律はこの人にとってはどうでもいい、些末なものだ。大事なのは先代の創作物を尊重し、いかに継ぎ足せるか、あるいは改新できるか、新しい解釈はあるか、新しい発想はあるかということだ。そのために先代の創作物をありとあらゆる手段を使って発掘していくだろう。自分と同じ考えはないか?と恐れるのではなく、自分のアイデアの助けとなるものはないか?という視点をもつことができる。

大言壮語してしまったが、別に高尚な信念をもつべきだ!と言いたいわけではない。「世界の文化にすこしでも寄与したい」、そのためには手段として「お金儲けが重要だ」、だから「コンプライアンスに沿って商業雑誌には掲載をする」という発想にもなる。

マズローの欲求理論のように、だれしもが生活のためにお金は必要だ。ただ、お金を求めること(ビジネスで成功すること)と、それぞれの自分の信念が必ずしも併存できるとは限らないお前の信念など知ったことか!法律を守れ、恥を知れ!と人々に叩かれたとしても、いやそれは俺の信念だから!と強い気持ちをもてることが大事だと思う。

人間はいつか死ぬ。いつか死ぬから、恥を恐れずに信念を貫けばいいと思う。極論、法律を破っても謝るなり金を払うなりすれば済む程度の制裁を恐れずに信念を貫くのもありじゃないか。いったい名誉が体裁なんだっていうんだ?大事なのは何を創るかだろう?と大胆不敵にいてもいいじゃないか。トレースが避けられないと言うなら、出典を明記すればいいと思う。出典を明記しないのは、恥に負けたからだろう。信念が強ければ恥に打ち勝つことができると思う。信念が強ければ、自分で資料を手に入れる労力や、著作者に連絡を入れる労力を惜しまない人もいるだろう。

この問題は結局の所、善か悪かといった法律や道徳の問題ではなく、好きか嫌いかの問題だと思う。趣味の問題であり、信念の問題だ。人はいつか死ぬ。だから恥を恐れずに信念を貫こう。信念を貫けば、いつか評価される日が来る。きっと素晴らしいものが描けるはず

参考:フェアユース

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