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デッサンとはなにか、その語義について
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https://souzoumatome.com/dessin-ch/
Wikipediaとコトバンクによるデッサンの客観的な定義を模索する
今回も「定義」の問題ですね。やっかいです。より客観的な定義を模索するためには、それ相応の客観的な資料が必要とされます。今回はWikipedia教授と、コトバンク教授を招致したいと思います。今回もよろしくおねがいします。コトバンク教授はお初ですね、お目にかかれて光栄です。
今回もよろしくおねがいします。
はじめまして、コトバンクといいます。私はWikipedia教授よりも、より専門的な定義を”専門家の言葉”でしているという自負があります
おやおや、私も”専門家の言葉”を参考にして構成しています。辞書を節操なくかき集めているとは品性に欠けるのではないかと思われます。
どちらも同じようなものなので、喧嘩はやめてもらっていいですか
まず、デッサン(dessin)はフランス語です。日本語では素描(そびょう)、英語ではドローイング(drawing)といいます。一言で概略定義するなら、「物体の形体、明暗などを平面に描画する美術の制作技法、過程、あるいは作品のこと」です。
概略的な定義なら「一般に線的特質が顕著で、ほとんど彩色を施さない絵画表現」のことです。
なるほど、だいぶざっくりした定義ですね。デッサンの定義についてもう少し掘り下げてもらえますか。
それなら私におまかせください。デッサンは「目的」によって4つに分類できます、(1)着想などの「スケッチ」、(2)技術の習得、(3)下書き、(4)独立した完成作品です。芸術作品の「下準備的なもの」と、「デッサンそれ自体が作品であるもの」との大別が可能です。
なるほどそれはわかりやすい分類ですね。そうした分類でいくと、かなり広義になってしまいますね。「デッサンそれ自体が作品であるもの」は例外とすると、多くの芸術作品では「下準備」が必要であり、また「技術の習得」が必要となります。そうすると、多くの芸術活動で「デッサンは必要不可欠な要素となる」と思いますがどう思いますか。
最近ではデッサンを必要としないと考える人、デッサンを軽蔑する人さえいます。こうした流れは「具象絵画」より「抽象絵画」が優先されるような時代背景に根ざしているのだと思われます。しかし、「抽象絵画」で活躍している芸術家も昔はデッサンの勉強をしていたんですよ。やはりデッサンはある程度勉強するべきであり、尊重されるべきではないかと思われます。
はあ、そうですか。中立性を重視するWikipedia教授がそういった価値判断的発言をしてしまうとは、驚きです。ピカソの絵が実は「具象絵画」だというのは話をややこしくしそうですね。写真のような絵が「デッサン」というのも話をややこしくしそうです。
ピカソのような絵はたしかに芸術作品を「具象絵画」と「抽象絵画」に二分するなら「具象絵画」ですが、実際は区別が難しいですよね。ちなみに抽象絵画が成立する20世紀以前は、絵画といえば「具象絵画」だったんですよ。ちなみに「具象絵画(ぐしょうかいが)」とは具体的な対象物を極端な抽象なしに具体的に描いた絵画です。
説明ありがとうございます。ピカソの絵は抽象的だという感想が、素人の私としては正直な感想です。
ピカソの絵は描かれた対象が画面上では徹底的に解体されているんですよ。いままでの具象映画が一つの視点に基づいて描かれていてたのに対し、いろいろな角度がら物の形を一つの画面に収めたわけです。こうした立場を「キュビズム(立体派)」といいます。20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始されました。単一焦点による遠近法の放棄というか、あるいは形態上の極端な解体・単純化・抽象化というか。
説明ありがとうございます。あ、抽象化っていいました?しかし話がそれてきてしまったので戻しましょう。コトバンクさん、「デッサン」の定義についてなにか言いたいことはありますか。
広い意味のデッサンの定義はコトバンクさんのいったとおり、デッサンの「目的」によってたしかに4つに分類可能です。実在感を具えた絵画に求められる描画や観察、検証の技能、手順や技法の熟知を、広い意味で「デッサン」と呼びます。そういう意味では、やはり「具象絵画」に属する技術や手段という意味になるかと思いますが、同時に「抽象絵画」のためにもなりえます。デッサンだって強調、変形、単純化、”抽象化”もします。抽象の要素が少ないか、多いかでどのようにして芸術作品の価値が決まるのでしょうか。
あ、今コトバンクさ・・・
デッサンを写真のような、対象をそのまま”写し取る”ための手段や、目的と捕らえている方々がいるようです。しかしそれはおかしいです。肉眼の視覚と写真のような光学像による平面的な造形との相違はその実在性であり、絵画は写真のような光学的な造形よりも、人間の視覚に肉薄出来る。この相違は決定的であります。写真にはない素晴らしさが写実的な絵にあると思いませんか?
すこし話を戻しましょう。そうした価値判断は、我々の中立性を脅かすものです。どちらが芸術性があるのか?具象か抽象のどちらがいいのか?そうしたことは我々には語り得ないものですよ、Wikipedia教授。また語るべきではないです。先程デッサンを目的別に4つに分類しましたが、もう少し掘り下げてみましょう。
コトバンクさん、ありがとうございます。知らない単語も多かったのですが、意味まで添えてくれたんですね。助かります。ちなみにWikipedia教授は絵画鑑賞とかよくするんですか
私はヌードデッサンの画像がWIKIにアップロードされると、誰よりもはやくその画像が公然わいせつ罪にあたる程度のものなのかどうか、そうしたものを確認するために誰よりも速くチェックします。
はあ、そうなんですか。以上でインタビューを終わりたいと思います。
今回おすすめするデッサン関連の書籍
上から3つはスレでおすすめされていた人物デッサン関連の書籍です。4つめはデッサン書で評価が高い本です。5つ目は個人的におすすめの人物像デッサン本です(ジャック・ハム大先生です。旧いですが)。6つ目は比較的最近の著作で、評価が高い人物デッサン本(いわゆるモルフォシリーズ)です。
A. ルーミス「やさしい人物画」
ジョセフ・シェパード「シェパードの人体ポーズと美術解剖学」
バーン ホガース 「ダイナミックコミック講座 人物を描く」
スタジオ・ものくろーむ「鉛筆デッサン基本の『き』 やさしく、楽しく、デッサンを始めよう」
鉛筆デッサン基本の「き」 やさしく、楽しく、デッサンを始めよう
ジャック・ハム「人体のデッサン技法」
ミシェル・ローリセラ「モルフォ人体デッサン 新装コデックス版」
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