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宮崎駿の馬車とはなにか
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「アニメーターの方に向けて書いた「母を訪ねて三千里」の指示書で、遠近法の間違いを指摘したもの」らしいです。しかし現在ネットにある画像のソースのURLはすでにサーバーがなくなっている状況です。
正直何を言っているかわからない人が多いはずです。こういうときは解説してくれる人を片っ端から探すのが妙手といえましょう。
説明1:パースは初歩しか知らない人が、本当によく、やらかす間違いの図
パースは初歩しか知らない人が、本当によく、やらかす間違いの図。アシさんに写真トレスではなく、想定で一から背景を描いて貰うようお願いすると、10人中10人がこの失敗をするという、ていうか、初めから理解してる人見たことない。 pic.twitter.com/E8l3BUWBaN
— 篠房六郎 BOOTHにて「ポーズの定理」発売中 (@sino6) June 18, 2014
まずはTwitterの紹介をします。
(出典元@sino6)https://twitter.com/sino6/status/479117018344345600
なるほど、わかるようなわからないような。いや正直さっぱりわからない。正直に言おう。さっぱりわからない。カメラの用語、パースの用語について昔学んだ気がするが、ほぼ忘れている。なるほど成長しない。
広角・標準・望遠について
広角レンズとは
・広角(こうかく,wide angle):角度が広いこと。広角レンズの略称としても使われる。標準レンズより焦点の短いレンズのこと。レンズを広角側に合わせると、広い範囲に焦点が合うため、背景を広くはっきり撮影したり、遠近感のわかる写真を撮影したりできる(出典)。
広角レンズは「広いエリアを写せる」みたいですね。ビデオ撮影尾では一番使われるレンズらしいです。狭いところでも広く写せたり、遠近感や立体感の強調、フォーカスが合いやすいなどの特徴があります。え?焦点距離が短いのに広いからややこしいって?そりゃそうだ。
素晴らしい表があったので引用させてもらいます。こりゃあ、わかりやすい図だ。たしかに焦点距離が短いほど、画角が大きくなる。つまり広角になっている。広く撮れるなら広く撮れるほうがいいじゃないか、って話もわかる。しかし広角、標準、望遠とそれぞれ良い点があるみたいです。
広角は「被写界深度」というものが深く、手前から背景までピントを合わせやすいらしいです。「被写界深度(ひしゃかいしんど)」は「画面全体にピントがあっている状態」のことですね。たとえば上の画像は、奥の方の背景のピントがズレています。手前のオブジェクトを強調させるため、わざとズラすことがあります。
我々一般人の通常認識では、ピントがズレた写真はダメな写真というイメージがあります。たとえば運動会の徒競走で走っている子供の写真を一枚撮ろうとしたら、ピントがズレてしまったなんてことがあるかもしれません。急いで撮ろうとするとピントを合わせる暇がなく、意図せずにピントがズレてしまうことがあります。
標準レンズとは
・標準(ひょうじゅん,standard):焦点距離が画面の対角線の長さに近い写真レンズ。画角は40-60°程度。35ミリ判では焦点距離50mm前後。6センチ×6センチ判で75-80mm前後。一般的な用途に用いられる写真レンズ(出典)。
人間の見た目に一番近いレンズらしいです。つまり、自然に見えるということです。ちなみに通常のビデオカメラでは焦点距離のメモリがないらしいです。つまり、自然に見えたらそれはだいたい50mm前後だということになります
そもそも人間はそこまで遠い距離も見えないし、広い範囲も見えないわけです。つまり広角的な視覚や望遠的な視覚は人間にとっては本来見えない視野なわけですね。しかし見えないからと言ってそれが美しくないかといったら別の話ですよね。我々が鳥やシマウマの視覚をもったら、世界はもっと美しく見えるかもしれないわけであり、それが自然だと思うかもしれません。つまり人間が慣れているという意味でのみ自然であるわけです。
望遠レンズとは
・望遠(ぼうえん,Telephoto):遠くを見ること。望遠レンズの略称としても使われる。標準レンズより焦点の長いレンズのこと。遠方の被写体を近寄せて写すことができるが、奥行きがつまって映る(出典)。
今回の主役の望遠さんです。遠くを見たいなら広角にすればいいじゃないか!と思う気持ちもわからなくもないです。私もあまり頭はよくないほうなので、なるほど広角にすれば良いのか!と思ってしまう次第でありまして困ったものです。
たとえば遠くで珍しい動物がいるとします。しかし小さすぎて人間の目にはその動物がなにかわかりません。そこでカメラを使ってその動物の正体を見極めようとします。さて当然ですが標準レンズではその動物の正体がわからないわけですな。なぜなら先程と同じような景色しかそこに映らないわけです。
そこで広角レンズに変えてみました。しかしその動物の正体が一向にわからないわけです。もしその動物が横に広くて、とても人間の眼の能力じゃ一度にすべての幅を捉えられないっていうなら、広角レンズの出番かもしれません。しかし今回はそういうわけじゃないのですよ。下手したら米粒くらいの小ささで、幅というものも殆どないのです。
そこで望遠レンズに変えてみました。その動物がなんとくっきり見えるじゃないですか。ああ、そうかズームみたいなもんだなと私みたいなものには理解されるわけです。
圧縮効果とは
「映像カメラマンのための構図完全マスター」103P
こういうものは頭で考えてもさっぱりわからないので、やはり実物を見て比較するに越したことはない。終始この記事は引用続きですが、いろいろとご容赦ください。しかしこの本はなかなかわかりやすい。最後に紹介しているのでよかったら購入してみてください。
さて「広角で撮影した画面は標準の例に比べてパースペクティブ(遠近感)が誇張される。逆に花壇の望遠の画は、広角とは逆に奥の擬宝珠が大きく見える。これが圧縮効果と言われるもので、前後の距離が縮まって見える」とあります。なるほどこれが圧縮効果か、と私みたいな頭の悪いものにはまるで理解していないのに理解した気になるものです。
(出典元@sino6)https://twitter.com/sino6/status/479117018344345600
さきほどのTwitterの画像をもう一度見てみましょう。なるほどたしかに上の画像は広角的であり、下の画像は望遠的です。しかし「実際に目で見た場合」とはどのような意味でしょうか。実際に目で見た場合は「標準レンズ」に近いはずです。なるほどたしかに広角レンズよりは標準レンズのほうが圧縮されているかもしれません。標準レンズが全く圧縮されていない、というわけではないわけですな。
たしかに「人間の見た目」で描けと言われた場合に、「広角」にするのは失敗なわけです。しかも宮崎駿さんは、「失敗例」を広角にさえできてないと言っているわけです。つまり、「失敗例」は広角でも標準でも望遠でもないというわけですから困ったものです。一体これはどうなっているんだと。つまりどういう画角、焦点距離をとったとしてもカメラでは捉えられないものを描いてしまっているから失敗ということですね。
もちろん芸術に失敗などないと申されれば、そうなんでしょう。しかし宮崎駿さんの要求(人間の見た目で接近しますのでよろしく)とは反しているという点において、それは仮に芸術的であったとしても「失敗」なんですな。それは反論仕様がありません。
宮崎駿さんは「標準レンズ」あるいは「人間が見た景色」を要求しています。この2つは似ているようで、違うものです。頭の悪い私にはそれを説明する能力は幾ばくかもないわけですから、困ったものです。しかしカメラで撮った景色と、人間が実際に見た景色が違うというのは感覚的な問題としてわかるような気がします。
それは置いておいて、仮に「標準レンズ」が正解だと仮定します。[人間が見た景色」は少し厄介で多くは主観的でありますから、置いていくのです。「標準レンズ」を宮崎駿さんは要求しているのだとして、やはりアレは「失敗例」なのですね。
そりゃわかったつもりになってスノビズムよろしく、これは「圧縮効果」を考えていないから失敗なんだとか、これは「広角」すぎるから「失敗」なんだとか、そういったわかったつもりの言葉はそりゃ評うことは可能ですよ。しかし本質的にそれは記憶に残らない説明と言う他ないでしょう。おそらく私はこの説明を聞いたら、頭が悪いものだからすぐに忘れてしまうに違いありません。一体全体、記憶に残らない知識に何の意味があるのだというのです?
「圧縮効果」を実践して記憶する
広角、標準、望遠の実験
すでにblenderで実験していた人がいたので、私もやってみようと思います。馬はこちらから同じように借りました。
とりあえずこのように視点を設定して動かしてみました。これは焦点距離50mmです。つまり、標準レンズということになります。
さて広角レンズにしてみましょう。20mmにします。50mmから20mmに変えたということです。ちなみに立点は同じです。カメラの先の筒みたいなものがウイーンと短くなったり長くなったりするんでしょうねおそらく。まあ、詳しいことはよく存じません。えっなにが変わったのかって?まあそうは置いてきましょう。
続いては望遠レンズです。これは135mmにしておきます。
さて、正直なところ分かる人にはわかるのでしょうこの3つの視点の重要な相違点が!
安心してください。わたしにはさっぱりよくわかりません。それでもこの記事は「感想記事」であるので、なにかしらの感想を述べておく必要があるでしょう。その義務がわたしにはあります。
たしかに広角のほうはなんというか、引いた感じがしますよね。たとえば目の前に大きなビルがあるとします。ビル全体を眺めるためには後ろに大きく歩を進めなければいけない状況を想像してください。ビルを丸々視野にいれるためには、ビルの目の前ではなく、ビルから遠く離れた位置にいる必要がありますよね。まあ、そんな具合なんですよおそらく。つまり焦点距離を短くするというのは、後ろに下がるということのようなものなんです。それで広く、ビル全体が見えるようになるという代物なんですね。というわけで、広角レンズのほうはなんというか、後ろにひいた感じで、より広い画面になっている次第です。
次に望遠ですね。これはなんというか、先程とまるで逆なんですよ。ビルに近づいているわけですね。近づきすぎてビル全体がまるで見えないという次第になりかねないわけですよ。焦点距離を大きくすぎるというのは、つまりビルに近づきすぎるわけなんですよね。しかも人間は一歩も動いていないのに、カメラがウイーンと調整して、ビルに近づいたように撮影するのですから文明の利器というものは素晴らしいですねいやまったく。
ところでこのビルというものがこの場合には馬車なんですね。なるほど近づきすぎた結果画面には馬車がまるまる映し出されていないわけです。
ここで皆さんには、というよりわたしには疑問が浮かぶわけです。望遠レンズというものは標準レンズや広角レンズのある一定の画面をそのまま切り取って拡大しただけじゃないかとね。たしかにその発言をまるきり否定することは今のわたしの知識では到底できませんよ。恐れ入りますよまったく。
アニメーション的に言えば、1フレームでパシャっとカメラを撮るとします。つまりスタート地点ですね。このスタート地点を3つの視点で比較するとこうなります。
なるほどたしかに望遠になればなるほど近づいて見えます。
なるほどたしかにズームしたかどうかで一見全てが語れるような気がします。しかしそんなシンプルな問題ではないということは皆さんもお察ししているかと思います。
いいですか、重要なのはどの画像も歪んでいないということです。ええ、おそろしく歪んでいないのです。どれも近いか遠いかの違いだけで、おそろしく歪んでいないのです。まさにその点で、わたしの精神は歪んでしまいそうになります。
今度はカメラの方を動かしてみたいと思います。先程は言ってみればズームしただけですよ、ほんとに。今度はカメラをそのまま動かすんですよ。これがほんとに全然まるきり違う挙動になるんですから驚きですよね。
みなさん、!!ここですよここ。これが「失敗例」というやつですよ。なんてことがない、やはり広角にすれば「失敗例」というものに近づくんですな!ええ?失敗例にそっくりじゃないですか!
たしかに宮崎駿さんは「自然の見え方」を重視するわけで、焦点距離20mmは広角レンズであり、標準レンズよりも30mmも短いわけで、これはすなわち不自然な見え方なわけです。あえてゆえば「歪んでいる」わけですな!しかしこれが実現できるとは驚きです。先程はこの絵は失敗であり、広角でも、標準でも、望遠でもないといましたが、やはり広角であったというわけです。
ところでカメラが動いているとはどういうことか?これが腑に落ちないという方もおるはずです。お見せしましょう。
広角レンズは対象に近づきすぎると歪むわけですな。遠すぎると歪まないで済むというから驚きです。その仕組は正直あまりスパッと理解していないのですが、まあ感覚的な問題としては解決したので78点というところですよ。
じゃあ50mmで同じことをやってみろって?わかりましたお見せしましょう。重大な相違点がわかってきたはずです。カメラには画面というものがあります。これと同じようにパース、つまり遠近法でも画面というものがあります。この画面内でいかに歪まないか、というのがいわゆる視円錐の問題になるわけです。
この話はすこし複雑なのでいろいろすっ飛ばせば、標準レンズくらいの画角が歪まない範囲というわけです。上の動画でも四角で囲まれた範囲は常に50mmなわけで、つねに歪んでいないわけです。それに対して、20mmのほうは歪んでいますよね。かなり引き伸ばされてしまっています。こいつぁ不自然ということです。この画面外か画面内かというのはおそろしく重要なわけです。画面、アニメで言えば映像そのもの、絵そのもの、テレビで映るアニメそのものなわけです。ところで歪みがなんだっていうのは、正直おそろしく概念的な話なので口を閉ざします。まあなんというか、実際の大きさより恐ろしく引き伸ばされてみえるというか、まあそんな抽象的な具合ですよほんと。
え?望遠だとどうなるかって?まあそれは、歪みはしないでしょうねあまり。すくなくとも画面内ではね。しかしなんというか、こう、視野が狭いというか、近づきすぎていると言うか。いやどうだろう。この問題はすこし置いておきましょう。それにしても右側のカメラ見てくださいよ。かなり伸びてますね。こいつぁ面白い。
圧縮効果に関する実験
ああ、そうそう圧縮効果って結果なんだって話をしていませんでした。
(出典元@sino6)https://twitter.com/sino6/status/479117018344345600
さきほどのTwitterの画像をもう一度見てみましょう。
まあ、詳細はよくわかりませんが等間隔にオブジェクトを設置してみました。同じ高さなのにだんだん低くなっていくように見える、これが遠近法っていうやつなんですよね。
肝心の圧縮効果についてはこれを見ただけでは正直よくわからないでしょう。こういうのは比較によって成立するものですから!!
さて、望遠レンズに変えてみましょう。120mmにします。まあ、なんていうか。カメラを移動させないでズームしたのと同じようなもんですが、なにかこうちがうというか。うーん。ああ、なるほどわかりました。こう、なんていうか、あの、遠近感がなくなっているというか。だんだん短くなっているには短くなっているのですが、画面内ではそれが感じにくいというか。望遠レンズっていうものは「遠くのものでも大きく見せる」わけですよ。つまり、本来小さいものが大きく見えるわけでありまして、したがって、遠近感が弱くなるんですね。それが圧縮するというやつなんですが。
しかしまあ、120mmというのは望遠に傾きすぎるのではないか、という意見もあるやもしれません。
それでは50mm、70mm、90mmと同時に見せましょう。ここで問題になるのは、どの程度圧縮するのが美しいか、自然か?という程度問題なわけですよ。え?50mmがいいって?まあ、たしかに50mmでも圧縮効果があるんですよね。最後の方、つまり奥の奥の方ではほとんど長さが変化してないんですよね。すくなくともそのようにみえるわけです。こういう問題は正直美の問題であり、状況の問題であると思います。つまり「巨大感」を出したいかどうかなんですね。
(出典元@sino6)https://twitter.com/sino6/status/479117018344345600
Twitterの画像をもう一度見てみると、正解の絵が描いてないんですね。これは正直、どうなんでしょうね。つまり、「失敗例」と「誇張例」が並列してあるわけで、「成功例」がないんです。わたしのような頭の悪いものは下の画像を「成功例」として見てしまうんですよね。しかし文章をよく見れば「パースの間違い」と「巨大感の出し方」なんですね。つまり「パースの正しさ」の絵はないわけです。え?そうじゃない?下が「成功例」?そうかもしれませんね。しかしまあ、「実際に目で見た場合」とかいてあるのでそうかもしれません。そうじゃないかもしれません。正直わかりません。しかしまあ、下の画像のほうがより「成功例」に近いのは、そら確かかもしれません。つまり、「標準レンズ(実際の目で見た場合)」でも「望遠レンズ」でも「圧縮効果」があるのは同じなんですからね。しかし「圧縮効果」を強調したものが「巨大感」てなわけですから、それは「実際に目で見た場合」とは違うわけでありまして、さあどうなんでしょうね。それは本人に聞いてみてほしいところですが。しかしまあ、プロが言うんですから、文章と画像においては嘘偽りない正しいものなんでしょう。
ちなみに20mmです。つまり、広角レンズというわけです。たしかにパースが誇張というか、遠近感が強くなっていますね。結局の所、どのレンズが正しいかは、その人の美の判断、状況、効果等々様々なものによるんですよね。そらあ、人の目にどう見えるか?ならある程度の正解はあるのかもしれませんがね。いちいち心理的効果なんて鑑みていられませんわな。
感想元のスレ
https://souzoumatome.com/perspectives-miyazakihayao/
今回おすすめする書籍
新版 映像カメラマンのための構図完全マスター (玄光社MOOK)
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