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アニメ塗りとはなにか?
簡単にアニメ塗りの分類と意味を解説したいと思います。
以前記事で話したことがあるので、ざっと触れます。
以前の記事:デジタルイラストにおけるアニメ塗りとはなにか、基礎知識、意味、やり方
・アニメ塗り(あにめぬり):アニメーションに見られるような仕上がりの彩色方法。影の形をくっきりと描き、ベタ塗りを使う。ぼかしをあまり使わず、境界がはっきりとしたエッジの強い影やハイライトのみで塗る技法。日本のセルアニメ制作で用いられてきた塗り方と見た目が似ているため、アニメ塗りといわれているそうです。
分類
便宜的な図です。基本の塗り方として他のものがはいったり、抜けたりといったことがあるかもしれません。しかしおおよそこのような体系でいいのではないかと思います。その他は順不同で、とりあえず目についたギャルゲ塗り等を記載しただけです。他にも「美少女塗り」や「発光塗り」等も「応用・その他」に含まれます。
たとえばアニメ塗り+ブラシ塗り、厚塗り+アニメ塗り、水彩塗り+ブラシ塗り等の混合型もありえます。他にもパステルアニメ塗り、水彩光塗りといったような、一般の塗り方の特殊系(分類としてはその他・応用に入る)のようなものもあります。どの参考書を見ても基本的には「アニメ塗り、ブラシ塗り、厚塗り、水彩塗り」の4つが基本的に塗り方の基本となっています。他にも油彩塗りといったようにアナログの類型に合わせてデジタルにもあるのかもしれませんが、参考書籍で挙げられることはあまりないようです。どちらかえといえば油彩塗り≒厚塗りとして定着している印象を受けます。実際に厚塗りは「油彩やアクリル画のような塗り重ねをデジタルで模した塗り方」なので、油彩塗りの一種です。ブラシ塗りもアニメ塗りの特殊系といった印象があります。
セル画とは
・アニメ塗り(あにめぬり):アニメーションに見られるような仕上がりの彩色方法。影の形をくっきりと描き、ベタ塗りを使う。ぼかしをあまり使わず、境界がはっきりとしたエッジの強い影やハイライトのみで塗る技法。日本のセルアニメ制作で用いられてきた塗り方と見た目が似ているため、アニメ塗りといわれているそうです。
©スタジオジブリ こちらから引用しました。背景がないことから、トトロというキャラクターを動かすためのセルであることがわかります。
「アニメのセル制作」に似てるとはどういうことでしょうか。セル画とは「セルアニメ製作過程において用いられる画材「セル」とよばれる透明シートに描かれる絵」です。デジタルアニメになってからも、オブジェクト名としてセル画は使われているそうです。
1914年にアメリカでジョン・ランドルフ・オウレイという人がはじめて使ったらしいです。動くキャラクターをセルに描き、背景画は紙に描くという手法です。背景画を毎回描かなくて済むので楽ですね。
日本では「切り絵アニメ」という形式が1930年代においても一般的だったそうです。セル画は当時高く、採用できなかったそうです。
セル画はトレースという作業があります。手作業の場合もありますし、機械(トレスマシン)を使う場合もあるそうです。一度手書きで描いて、次にセルを乗せ描いていくんですね。歩くアニメーションを作る場合は複数のセルをこのように作成し、ひとつひとつ撮影していく感じでしょうか。背景も動かす場合は、背景もさらに雲や鳥、動く木々等のトレスをつくっていくんですね。
セル画の彩色:輪郭や境界線が線として現れる
アニメ塗りというものは独創的な発想というより、アニメではこういう塗り方が合理的だといったような感じでシステム的に採択されたようです。
「製作の工程上、トレスされたセルの裏面に彩色するため、輪郭や境界線が線として現れる」というのは想像しにくいですよね。
たとえばこれがセル画にトレスされ、書かれた「線画」だとします。透明なセルに線だけ書かれていると思ってください。クリスタで言うと用紙の表示すらない状態です。
ここから「表」をそのまま塗ると、線にかぶってしまうかもしれません。
しかし、裏に塗れば、かぶりにくいです。裏から塗る以上、線画にかぶることはないので、線画は必然的に残ります。線画がはっきり残るというのは、このようにトレスという形状から生まれたものだといえます。もちろん見やすいといった観点からも有用だったのかもしれません。
アナログはマスキングをして他の要素に塗られないようにする等といったテクニックがありましたね。先程の裏や表という概念は、デジタルイラストでは「レイヤーの順番」に相当します。塗りレイヤーが上にあれば線にかぶり、下にあれば線にかぶらないといった具合です。
デジタルでは一般的に塗りつぶしツールを使うことが多いです。
黒色だと明度差がありよくわかるのですが、アンチエイリアスが強いと塗り残しが発生しやすくなります。とはいえ、こういったものは拡大しないと気づかない範囲の誤差の場合もあり、気にしなくてもいいケースがあります。
先程の表と裏の概念を利用して、線画レイヤーの下のレイヤーに、多めに選択範囲を作り、塗りつぶせば塗り残しが少なくすみます。線画の修正のしやすさという観点からしても、線画と塗りのレイヤーはできるだけ分けることが推奨されます。
【クリスタ】塗りつぶしのときに発生する汚れ、塗り残しの対策方法を考える【フリンジ】
以前記事にしたことがあるので、詳細はこちらを見てください。
セル画の彩色:色の単純化
セル画では多数のスタッフで彩色がおこなわれるため、色や陰影のグラデーションを統一させ、単純化させるといった方法があるようです。こうした塗り方がいわゆるアニメ塗りの起源ですね。
たとえば水彩塗りでは色のグラデーションを重視します。何十段階にも明度や彩度のグラデーションが表現されることもあります。アニメ塗りのようないわゆる「ベタ塗り」ではなく、水で絵の具を溶かして微妙に調整するといったようなアナログ的な塗り方です。その境界も曖昧で、徐々に変わっていくような感じがあります。
上のトトロの絵を見ると、主に三段階しかありません。ポポロのメインの色、遠くの物からできる陰の色と、近くの物(絵でいうと頭の葉っぱなど)からできる濃い色の3つです。傘は2段階しかありません。シンプルでわかりやすく、仕事仲間と共有しやすい形式であることがわかります。どのくらい明度を下げるのか?というのは状況次第だと思いますが、なにかパターンはありそうです。今回の場合だと、下げる場合は1段階ごとにおおよそ半分くらいになっています。
この記事の感想元になったスレのまとめ
アニメ塗りと陰の塗り方のヒント、絵の評価のポイント、ポーザーの利用等のtips
今回おすすめする書籍
アニメ塗りの技法が書かれているものを挙げています。主にクリップスタジオペイントの技法です。
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